駐車場賃貸借契約には仲介手数料の上限規制が適用されない?

不動産賃貸借の仲介手数料については、仲介業者が受領できる上限額が賃料1か月分と定められています(昭和45年建設省告示第1552号)。

が、実は駐車場賃貸借契約の仲介手数料についてはこの上限規制が適用されないという話があります。この例外的な取り扱いについては、案外不動産に携わる人でも知らない人がいるため、今回取り上げてみます。

不動産賃貸借契約の仲介手数料

駐車場賃貸借契約の話に入る前に、不動産賃貸借一般について法がどのように定めているか押さえておきましょう。

 

宅建業法46条は仲介手数料に上限があることを定める

宅建業法が適用される不動産取引における仲介手数料の上限については、宅建業法46条で以下の通り定められています。なお、これは賃貸に限らず売買の場合にも適用されます。

宅建業法46条

1 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる
2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。

46条1項の方をみると、仲介手数料の上限額は「国土交通大臣の定めるところによる」とありますね。法律では細目を定めず行政に委任するのはよくあるやり方です。

 

建設省告示は具体的な上限額を定める

この宅建業法の規定を受けて、国土交通省は「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号)を定め、具体的な上限額を示しています。

賃貸借契約の仲介については、以下の通りです。

    上限額(税抜)
居住用建物 原則 貸主から賃料の0.55倍、借主から賃料の0.55倍
例外 依頼者の一方から承諾を得ている場合、当該依頼者から受領できる仲介手数料の上限は賃料の1.1倍
上記以外の不動産 貸主・借主から受領できる仲介手数料の上限は賃料の1.1倍

駐車場賃貸借契約は上限規制が適用されない?

ここからが本題です。

上で書いたように、宅建業法が適用される不動産取引については仲介手数料の上限が定められています。ところが、駐車場賃貸借契約についてはこの宅建業法上の上限規制が適用されない扱いとなっているのです。

公的な機関である不動産適正取引推進機構からも、以下のとおり説明されています。

Q3 不動産会社のあっせんで個人の地主さんと駐車場賃貸借契約を結びましたが、不動産会社から仲介手数料として月額賃料の1.5か月相当分を請求されました。宅建業法では月額賃料1か月ではないのですか。

A3 駐車場として利用することを目的とする土地の貸借の媒介は、原則として宅建業法の適用があります。しかし、車1台ごとの月極駐車場の貸借の媒介については、業法の趣旨及び規制の実益等を考慮して、業法上の問題としては取り扱わない運用がなされています。

引用元:一般財団法人 不動産適正取引推進機構HP


このような扱いが宅建業法に違反しないのは何故なのでしょうか。

 

宅建業法の適用対象となる不動産とは

そもそも、宅建業法が適用される不動産は宅地又は建物です(宅建業法2条2号)。そして、宅建業法では、都市計画法上の用途地域内に存在するものであれば使用目的を問わず宅地に該当することとされています(宅建業法2条1号・施行令1条)。

そうすると、住宅の敷地でない駐車場であったとしても宅建業法の適用対象となるようにも思われます。

 

駐車場という施設を使用する契約

しかし、駐車場契約に関しては土地そのものではなく駐車場という施設を使用する契約であると一般に解釈されています。この結果、駐車場契約は宅建業法の適用外となり、宅建業法が定める仲介手数料の上限規制が適用されないこととなるのです。

このような解釈の手がかりとなるのは、以下の国税庁のタックスアンサーです。

駐車場の一定の場所に駐車することの契約の場合

駐車場という施設の賃貸借契約書ですから、印紙税の課税対象となりません。

引用元:国税庁タックスアンサー No.7107 駐車場を借りたときの契約書

駐車場という施設の賃貸借契約であるとの文言がありますね。
もっとも、このタックスアンサーでは、

駐車する場所として、いわゆる駐車場としての設備のない更地を貸し付ける場合の賃貸借契約書は、印紙税額一覧表の第1号の2文書「土地の賃借権の設定に関する契約書」に該当し、印紙税の課税対象となります。

とも記載されています。

したがって、駐車場設備のない更地についての駐車場契約は宅建業法の適用対象となり仲介手数料の上限規定が適用されるものと考えられます。

このため、駐車場契約であれば何でも上限規制が適用されないと考えるのは早計といえるでしょう。あくまでも当該駐車場の態様によります。

最初に紹介した不動産適正取引推進機構の回答でも、「車1台ごとの月極駐車場」に限定しています。これは、上記の国税庁のタックスアンサーに従った解釈と考えられます。

おわりに

このように、宅建業法は不動産取引実務の実態に合わせた解釈がされることがよくあります。したがって、必ずしも宅建業法の条文を知っているだけでは、不動産法務はつとまらず、不動産取引の現場を知らなければ適切な判断をすることが難しいのです。

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