〒107-0061 東京都港区北青山2丁目12-8 BIZ SMART青山(外苑前駅 徒歩2分)
自己破産をしたくても、そこにはさまざまなデメリットがあるように思え、なかなか決心がつかないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自己破産には、一定のデメリットがありますが、一方で、デメリットとして誤解されているものも少なくありません。このコラムでは、自己破産のデメリットについて、よくある誤解にも触れながら、解説していきます。
自己破産のデメリットの中でも、もっとも大きいのが、財産を処分されるということです。自己破産をすると、債務者が所有している財産のうち、価値が20万円以上のものは原則として処分されます。
たとえば、自宅などの不動産や20万円以上の価値がある自動車などを所有している場合、これらの財産は処分されることになるため、手元に残すことはできません。
もっとも、仕事上欠かすことのできない財産や99万円以下の現金(※預金ではない)などは、例外的に手元に残すことができます。
自己破産をすると、そのことが事故情報として、信用情報機関に登録されます。いわゆる「ブラックリストに載る」というのは、このことを意味します。
「信用情報機関」とは、銀行やクレジットカード会社、消費者金融などが加盟する機関のことをいい、債務者の契約情報や支払状況などを管理しています。
ブラックリストに載ると、経済的に信用を失うため、新たに借り入れをしたり、クレジットカードを作ることが難しくなるというデメリットがあります。
なお、ブラックリストに載っている期間は、免責許可決定が確定してから、およそ5年間とされています。
自己破産では、任意整理と異なり、借金を整理する対象となる債権者を選ぶことはできません。そのため、すべての債権者が手続きの対象となります。
クレジットカード会社が債権者に含まれている場合には、そのカードを使うことができなくなります。
自己破産の手続きが開始され、免責許可の決定が確定するまでの間、就くことができない職業があります。
具体的には、弁護士や公認会計士などの士業、生命保険の外交員、警備員や宅地建物取引士などです。
自己破産の手続きが開始した時点でこれらの職業に就いている場合、手続きが終わるまでの間は一時的に仕事を辞める必要がでくることがあります(ただし、職種により異なりますので詳細はご相談ください)。
また、会社の役員(取締役など)は、自己破産の手続きを開始すると、いったん役員を解任されることになっています。そのため、引き続き役員に就く場合には、再任してもらう必要があります。
保証人がついている借金がある場合、自己破産をすると、債権者は保証人に対して直接返済を求めるため、保証人に影響を及ぼすことになります。
保証人がついている借金がある場合には、あらかじめ、保証人から承諾を得るなどして、事前に自己破産をすることを伝えておくことが大切です。また、債務額が多額であれば保証人も同時に自己破産をする必要が出てくることもあります。
自己破産をすると、そのことが氏名や住所などとともに官報に掲載されます。「官報」とは、定期的に国が発行する機関紙のことをいいます。
もっとも、官報を日常的に購読しているのは、金融機関の従事者など、ほんのごく一部の人に限られています。
そのため、官報により自己破産をしたことがバレるといった可能性は低いといえ、その意味では、デメリットとまではいえないかもしれません。
一般的に「自己破産」に対するイメージはあまり良くありません。そのためか、さまざまな点で誤解をしている方が少なくありません。
以下では、自己破産のデメリットとしてよくある誤解について、解説していきたいと思います。
自己破産は、あくまで債務者本人が負担する借金を整理するための手続です。このため、自己破産をしたとしても、原則として、家族に影響はありません。
自己破産をした場合に家族に影響があるのは、家族が保証人になっているような場合に限られます。家族が保証人になっていない限り、家族が代わって借金を返済しなければならないということにはなりません。
自己破産をすると、そのことが周囲にバレると誤解している方がいますが、周囲にバレる可能性は低いといっていいでしょう。
先に見たように、「官報」から周囲にバレるという可能性も極めて低いといえます。
また、自己破産をすると、そのことが戸籍に載ってしまうと誤解している方もいますが、そのようなこともありません。
むしろ、自己破産をせずに滞納状態を放置した場合には裁判を起こされたり給与への差押えをされることがあり、これにより周囲に借金がバレることがあります。
会社が従業員をクビにするためには、原則として、クビにできるだけの正当な理由がなければなりません。自己破産をしたことは、ここでいう正当な理由にはあたらないため、自己破産だけが原因で会社をクビになることはありません。
もっとも、先に見た士業や警備員として稼働している場合には、扱えない業務がでてきます。もっとも、この場合でも解雇が許容されるわけではなく資格を要しない部署への異動などを求めることになります。異動などの考慮なしに解雇された場合には、不当解雇となる可能性があります。
自己破産をしたとしても、家を借りることは可能です。
ただし、家を借りる際に、家賃保証会社を付けることが条件となっている場合には注意が必要です。
自己破産をすると、そのことが名前などと一緒にブラックリストに載るため、ブラックリストから記録が消えるまでは、保証会社による審査に通らない可能性があります。
このような場合は、賃貸人(オーナー)や管理会社に相談してみることも一つの選択肢ですが、できるだけ保証会社を付けることが条件となっていない物件を探した方がよいこともあるでしょう。
自己破産をしても、パスポートを没収されたり、新たにパスポートの発行を受けられなくなるということはありません。そのため、海外に行けなくなるということもありません。
もっとも、破産管財人が選任されている場合において、破産手続中に所在地を離れるためには裁判所の許可が必要になります。
自己破産の手続きが終われば、その後は、自由に海外に行くことができます。
意外にも多いのが、自己破産をすると選挙権を失うという誤解です。選挙権は、国民で20歳以上であれば、誰にでも平等に与えられる憲法上の権利です。
そのため、自己破産をしたとしても、選挙権を失うことはありません。
自己破産をしたとしても、公的年金や生活保護の受給に影響することはありませんし、十分な収入が無い場合には自己破産後に生活保護を受けることはよく行われています。ただし、個人年金については注意が必要です。
先に見たように、20万円以上の価値がある財産は、原則として、処分されることになります。自己破産において、個人年金は資産とみなされるため、解約返戻金が20万円以上であれば、処分の対象となります。
自己破産に対する多くの誤解が原因となって、借金を整理することに踏み切れない方もいらっしゃると思います。今回見てきたように、自己破産には一定のデメリットもありますが、それ以上に多くの誤解が存在していることも事実です。
まずは、そのことを十分に理解し、誤解を解消したうえで、自己破産を検討することをお勧めします。
自己破産をするにあたって不安な事情がある場合には、事前に弁護士にご相談ください。
お電話でのお問合せ・相談予約
・ご相談予約の場合は、その旨を受付にお伝え下さい。
・メールフォームでのお問合せ・相談予約は24時間受け付けております。お気軽にご連絡ください。
〒107-0061
東京都港区北青山2丁目12-8 BIZ SMART青山1階
東京メトロ銀座線・外苑前駅(3番出口)から徒歩2分
※駐車場:敷地内にコインパーキング(マストパーク北青山2丁目)あり
平日 9:00~18:00
※夏季休暇、年末年始をのぞく
土曜・日曜・祝日