強制認知

妊娠したのに認知してくれない場合の解決方法

交際中の恋人との間に子どもができた際、男性が子どもの存在を認めない、いわゆる認知を拒否するケースは少なくありません。結婚を拒否するだけではなく、子どもの認知もしない男性に対して、どのように対処すれば良いのか悩む人も多いのではないでしょうか。

そこで、妊娠をした際に男性が認知してくれない場合の対処法の1つである強制認知について、メリットやデメリット、調停や裁判の流れを解説します。


強制認知とは

強制認知とは、交際している男性が子どもを認知してくれない場合に、調停もしくは訴えを起こすことによって、男性の意思に関わらず子どもを認知してもらう方法です。

一般的な手続きは、最初に調停を行い、妊娠したのに認知しない理由を明確にしたうえで、どのようにすれば子どもを認知するのか、そのほか養育費などについて話し合います。

認知を求める調停を行っても男性が認知しない、条件に合意しないのであれば、訴えを起こすことで認知させるといった方法に移行することが一般的です。

強制認知制度の必要性

父親である男性が任意に認知する制度があるにも関わらず、なぜ強制認知という制度が定められているのか、疑問を抱く人もいるでしょう。

強制認知制度が定められている理由は、交際している男性が頑なに子どもを認知しなかった場合に、生まれた子どもが「男性の意思によって父親がいない子ども」になってしまうためです。父親である男性の身勝手な理由で婚外子が生じることを予防するために、強制認知制度が定められています。

強制認知のタイミング

強制認知は出産前・出産後のほか、父親である男性が死亡している場合にも適用されます。男性が子どもを認知しなかった場合、胎児の段階でも認知を求める調停を行うことは可能です。

ただし、調停は双方の話し合いの場であり、裁判所が調査を行った後でも、男性が子どもを認知しなかった場合は調停が不成立となります。調停不成立となった場合、子どもを出産する前は認知の訴えといった手段を選択できないため、出産まで待たなければなりません。

しかし、民事調停の申立書を提出してから実際に調停が行われるまでは1ヶ月ほどかかることが一般的です。その後、次回期日を設ける場合には更に1ヶ月かかることやDNA鑑定を行う時間も必要であることを考えると、仮に出産前に調停を行ったとしても途中で出産する確率が高いといえます。そのため、出産前の段階で認知の訴えを起こせなかったとしても、大きな不安を覚える必要はないでしょう。

出産前に認知を求める調停で男性側が認知に応じた場合、胎児認知の届出を提出する旨が記載されます。

出産後も民事調停を行うことが可能であり、調停で合意しなかった場合は女性から認知の訴えを提起するという流れです。出産した子どもが男性の子どもであるか、男性との親子関係が証明できるかを裁判所が判断し、判決で強制認知されるか否かを決めます。

民事調停で強制認知をする際の訴えは、父親である男性が生存している場合、出産後何年経過していても強制認知をしてもらうことが可能です。男性の死後でも強制認知は行えますが、亡くなった日から3年以内に手続きを行う必要があります。

強制認知のメリットとデメリット

男性が任意認知をしない場合、強制認知をする方法は有効なのでしょうか。強制認知をすることのメリットとデメリットについても確認しておきましょう。

強制認知のメリット

強制認知されれば、法律上の親子関係が確定するため、男性が子どもに扶養義務を負うことになります。そのため、基本的には子どもが成人するまでの間、扶養請求権に基づき養育費の請求ができることが強制認知のメリットといえます。

男性が認知を拒否した場合でも、出産後認知されるまでの期間について出生時にさかのぼって養育費を請求できます。

養育費といった扶養請求権は時効が5年と定められているため、認知された場合は早急に請求することが大切です。

強制認知のデメリット

強制認知は、調停や裁判などを行わなければならず、認知が確定するまでには時間がかかります。さらに、調停や裁判は1人で行うのは難しいため、弁護士に依頼する必要があり、一定の費用がかかる点がデメリットです。

しかし、男性が認知しないまま子どもを育てる場合、養育費を請求できなかったり遺産を相続できなかったりするため、長い目で見ればある程度の時間や費用がかかっても強制認知をする方が良い場合が多いといえるでしょう。

強制認知の調停・裁判

強制認知は、調停で合意しなかった場合に裁判を起こすという流れです。それぞれのポイントを解説します。

強制認知の調停の流れ

強制認知をしてもらうための調停申立ては、父親である男性の住所を管轄している家庭裁判所に対し、認知を請求する子どもや子どもの母親など法定代理人が行います。

申し立てについては、申立書を使用したうえで、子どもと男性の戸籍謄本、収入印紙を用意しなければなりません。申し立てをした後、1ヶ月ほどで初回期日が決められ、その後1ヶ月に1回程度の期間が定められます。申し立てでは、申立人が調停委員に自分が相手に求める内容や背景事情を説明し、その後調停委員から相手に対して考えを聞くというやりとりが交互に行われます。

調停は1回につき約1~2時間かかることが多いです。調停成立までの期間は申し立てをした段階でどの程度の証拠を揃えているかということや、男性側が認知をする意思がどの程度あるかによって異なります。一般的には調停が成立するまで半年程度、およそ5回の期日を重ねることが目安です。

強制認知の裁判の流れ

強制認知を求める調停での話し合いが合意に達しなかった場合、家庭裁判所に強制認知を求めるための裁判を申し立てます。家庭裁判所での手続では、認知を求める側が背景事情などを説明する陳述書を作成しなければならず、DNA鑑定などを行う必要もあることから半年から1年程度の時間がかかるでしょう。

自分で裁判手続を一から行う場合の費用は印紙代2万円程度で足りますが、専門的な知識が必要であり、知識がない人が行うのは難しいといえます。

なかにはインターネットで調べて自分で裁判をしようと考える人もいるとは思いますが、妊娠中もしくは子育て中の精神的・肉体的な負担を考慮しても、専門家に依頼した方が賢明です。

DNA鑑定について

強制認知をしてもらう場合には、相手男性の子どもであることを証明しなければなりません。そのため、特に訴訟に発展する場合にはDNA鑑定が非常に重要です。

 

万が一男性がDNA鑑定に協力しないという場合は、女性の証人尋問や陳述書により子どもの血縁上の父親が相手男性であることを間接的に証明する事実を主張することになります。なお、男性側がDNA鑑定に協力しなかったという事実は、裁判所が強制認知を認めるかどうかを決める際の一つの考慮要素になり、女性側に有利に傾く事情になることもあります。

おわりに

DNA鑑定を行い、男性と子どもの血縁上の親子関係が証明されれば自動的に法律上の親子関係が確定するというわけではありません。あくまでも男性が認知することで初めて法律上の親子関係が認められます。

法律上の親子関係が確定していない場合は、養育費を請求できなかったり遺産を相続できなかったりといったデメリットもあります。仮に女性側に金銭的な問題が無かったとしても、子どもが大きくなったときに戸籍上に父親がいることが子どもの精神的な安定につながるケースもあります。

絶対に相手男性に認知させたくないという場合ももちろんあると思いますが、そのような事情がなければ子供のために相手男性に認知させることをおすすめします。

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