強制認知

不倫相手の子を妊娠して認知してもらいたい方へ

奥さんがいることはわかっていたけれど「絶対に妻とは別れる」という言葉を信じて子どもが出来たが、いざ妊娠したことを告げると「困る」と言われた。付き合っていた彼の子どもが出来たので、結婚しようと言ったら「実は結婚していた」と言われてしまった。そんなお悩みでお困りの方もいるかもしれません。子どもが産まれたら父親はどうなるのかなど不安は尽きません。

このコラムでは、不倫相手の子を妊娠した場合に法的にはどうなるのか、どのような手段が取れるかなどを説明したいと思います。

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不倫相手の子を妊娠して認知してもらわないとどうなる?

不倫相手の子を認知してもらわないとその子どもはどのように扱われるのでしょうか。

法的に結婚している男女の間に産まれた子どもの場合、市役所に届け出ると戸籍に子どもの名前が記載されます。この婚姻関係にある夫婦の間に産まれた子どもは嫡出子となります。嫡出子の場合、両親は扶養義務を負います。

一方、婚姻関係にない男女の間に産まれた子どもは非嫡出子となります。母親は出産したという事実から当然に親子関係が認められます(裁判例)。しかし、父親に関してはそうはいきません。例え、生物学上では父子関係があったとしてもそれだけでは自分の子どもにはなりません。また、不倫相手が口頭で自分の子だと認めたとしても法的な手続きを取らない限りは法律上の父親となりません。その子どもは父親のない子どもなってしまいます。

シングルマザーとして育てていく方もいらっしゃいますが、その場合、母親の戸籍に入ることになります。法的に子どもとして認められるには不倫相手に認知してもらう必要があります。では、非嫡出子の場合は何が困るのでしょうか。

子どもを育てるには学費、食費など何かとお金がかかります。子ども一人を育てるには学費だけでも大学を卒業するまでおよそ1300万円かかるといわれています。子どもが認知されないと、不倫相手とは法律的には何の関係もないことになるので、相手には子どもを扶養する義務は生じません。その結果、養育費をもらうことはできませ

また、仮に不倫相手が死亡した場合に子供が相続を受ける権利もないことになります。

不倫相手が認知してくれない場合

不倫相手が自発的に認知してくれる場合(任意認知)は問題ありませんが、妻に知られてしまうのが怖いので、認知に応じない場合も実際には多いようです。その場合、強制認知をさせることになります。これは文字通り強制的に相手に認知させる法的な手段です。

子、その直系卑属(子、孫など)またはこれらの法定代理人は父親(不倫相手)が死亡してから3年経過する前まで裁判を起こすことができます。ただし、いきなり裁判を起こすことはできず、裁判を起こす前に第三者を交えて話し合う調停を申し立てることになります。これは調停前置主義と呼ばれています。

調停でも解決しない場合は、裁判(認知の訴え)を起こすことになります。訴えの被告となるのは不倫相手になります。裁判では裁判を起こす方が証明する責任を負っているので、不倫相手と子どもの血縁・生物的な関係を証明することになります。証明する方法はDNA鑑定になります。

「でも、不倫相手がDNA鑑定に応じてくれなかったら?」そう思う方もいるかもしれません。不倫相手としては認知を拒んでいるくらいだから鑑定に応じないことも十分に考えられます。その場合は次のような裁判例があります。

DNA鑑定を不倫相手に拒まれた場合

DNA鑑定に相手が応じない場合、裁判官が圧力をかけることになりますが、それでも応じない場合もあるでしょう。裁判例にはDNA鑑定を拒んだ場合に認知請求を認めたもの(東京高裁昭和57年6月30日)があります。

また、古いものになりますが、最高裁も昭和32年6月21日の判決の中で以下のように親子関係が認められる基準を示しています。➀子を妊娠可能な時期に、被告と母が継続的に肉体関係を持っていた②被告以外の男性と母が肉体関係を持っていたという事実が認められない③原告と被告との間には血液型の食い違いがないという3点です。

仮にDNA鑑定を拒まれてもそれだけでは裁判に負けてしまうということにはならないのです。

認知により不倫が妻にバレるのか?

認知することによって妻に不倫がバレてしまうのが怖いと認知を躊躇する男性が多いですが、実際には認知により不倫がバレてしまうものでしょうか?

認知すると戸籍に「認知」の文字が入ってしまいます。それを消すには「転籍」するか、もしくは「分籍」するしかありません。転籍とは本籍地を変えてしまうことです。転籍すれば新しい戸籍には認知の文字は記載されません。ただし、注意点があります。

まず、同じ管轄内では消えません。例えば、東京都千代田区なら千代田区内で移動させても無意味だということです。

もう一つは妻がいる場合です。当然、戸籍内には妻も入っているので、妻も本籍地を一緒に変えることになります。そうすると「どうして戸籍を動かさなきゃいけないの?」と不審がられる可能性が多いのです。

分籍とは結婚前に両親と戸籍が一緒だったときに、隠し子を認知した場合に、親の戸籍とは別に自分の戸籍を作ることで認知の事実を隠すことができます。ただし、これは不倫の場合には使えません

それでは転籍をしてしまえば、妻にバレずに済むかというとそうではありません。不倫がわかってしまうケースをご紹介します。

転籍しても不倫が妻にバレるケース

転籍しても過去の戸籍には認知の事実は記載されているので、妻が過去の戸籍を見た場合はどうでしょう。これがバレてしまうケースの一番目です。よくあるのが、夫が亡くなり、相続の際、今までの全ての戸籍を取り寄せたら知ってしまったというものです。相続の際には産まれてから死亡するまでの戸籍を全て取り寄せる必要があるからです。

もう一つのケースは認知した子どもやその母親にバラされたというケースです。子どもが認知されると子どもの戸籍には「父」として不倫相手の名前が載ります。戸籍にはどこで産まれたか、いつ結婚したか、いつ子どもが産まれたかなどプライベートな情報が含まれています。

そのため、誰でも請求できるというわけではなく、戸籍を請求出来る人は決まっています。(子どもは父親の戸籍を請求することができるので、転籍前の父親の戸籍を取得することが可能になります。そうすると、妻の名前も当然分かります。養育費が支払われないからといって訴えを提起する際に、住民票を取得することも可能なのです。そうすると住所もバレてしまいます。

認知の事実が消えるのはあくまでも新しい戸籍なのです。過去に起こったものを遡って消すということは出来ないのです。このように転籍により一時的に隠せるものの一生涯バレないという保障はないのです。

おわりに

このコラムでは不倫相手の子を認知してもらいたい場合の取り扱いを解説しました。以前は、嫡出子と非嫡出子で相続できる割合が異なっていましたが、民法が改正されこの点は同じになりました。

しかし、戸籍上父親がいないことになり、養育費の請求も出来ないという不都合は残ります。まずは不倫相手と話し合うことになりますが、相手が全く応じない場合には調停や裁判を利用して認知をもとめていくことになります。

ただ、不倫が相手の妻にバレてしまった場合、妻から損害賠償請求をされるリスクは念頭に置いておく必要があります。当事者同士での解決が難しいようであれば弁護士に相談するといいでしょう。

また、認知により父子関係が認められたら、養育費用分担請求をするのを忘れずにしましょう。認知させても養育費の請求は別にする必要があります。

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